site: | neyagawa osaka |
構造・規模: | 木造平屋建て |
建築: | 215.57 ㎡(ルルドホール) |
55.45 ㎡(厨房棟) | |
47.93 ㎡(ルルドの路) | |
竣工: | 2022 年 |
設計: | (株)住まい工房 集 kotarookuda architect office 一級建築士事務所 |
扉絵: | 小池沙弥花 |
photos: | 浅野豪 |
1932 年、アントニン・レーモンド設計の香里ヌヴェール学院(旧聖母女学院)。彼は F・L・ライトの作風からの脱却を模索する中で、本校の設計を任された。しかし、カトリックの学校であったため、本人の意思に反して校舎の大部分はスパニッシュミッションスタイルによる装飾が施されている。その中でも「講堂」と「雨天体操場」(1938 年 ) は装飾のない近代建築様式が実現しており、本計画は当時のモダニズムの空間が唯一残された「雨天体操場」を食堂へコンバージョンした。
食堂の周辺環境も含め、子ども達にとってもうひとつの居場所となるよう計画した。例えば、既存の大開口を活かし、厨房棟を最小限に納めることで、行事の拠点やサードプレイスとなる余白をつくり、庭との連続性を高める設えとすることで、外部にも居場所が展開されることを考えた。また、営業時間外は厨房を意識させない工夫として表具建具で仕切り、場所を開放している。食堂へと導く廊下を南の中庭に出られる新たな動線として計画し、回遊性を持たせた。この廊下は、在校生や卒業生の発表の場となるギャラリーの機能を持ち、様々な交流の拠点にもなる。アントニン・レーモンドの建築観である「五原則」を読み解きながら、空間の再生を試み、歴史・文化的価値を継承していくことで、この空間が学校に関わる全ての人たちにとって、記憶に残る場所となることを目指した。